ミカン山の1年

和歌山県海南市下津町大窪にある省農薬ミカン山の1年をご紹介します。ミカン栽培はその年々で臨機応変に対応していて、いまだに試行錯誤の連続です。

省農薬みかん園近くから見た大窪集落



新しい年が始まり、収穫を終えたミカンの木々は、やがて来る春に備えて冬の寒さに耐えています。

  

剪定 - せんてい

 

花や実がよくつくようにしたり、木全体の形を整えたりするために、枝や幹の一部を切り取る作業です。2月から始まるこの作業は、3月中旬まで毎日休み無く行われます。雨の日は落とした枝を園の外に運ぶ仕事があります。果実の数、日の当たり具合、収穫などの作業のしやすさを考えつつ、数年先をイメージして枝を切られたミカンの木は、次々に新しい表情へと変わります。 

 

春施肥

 

山のふもとで桜が咲き始める3月下旬になると、ミカンに肥料をやります。魚かす、貝殻、国産骨粉などを混合した有機肥料を使っていて、他の農家と共に農協で肥料の配合を行って分け合います。

 

マシン油の散布

 

マシン油とは高純度の機械油で、カイガラムシ類、ハダニ類を物理的に防除する殺虫剤です。虫の体を油で包むことによって窒息死させます。冬期には植物に対する防寒作用がありますが、春に差し掛かると気温によっては葉がやけるリスクがあるので注意が必要です。



その頃、農薬ゼミメンバーは…「剪定」

 

剪定を見よう見まねで体験します。しかし、この作業はプロの技が必要で、全く手伝いにはなりません…


冬が終わり、ミカン山に暖かい春がやってきます。ミカンの木、そしてミカン園にいる生き物たちがゆっくりと活動を始めます。 

  

農薬散布

 

その年々の状況によって、梅雨の前に農薬の散布を行っています。慣行ミカン園ではさまざまな農薬を年に十数回散布していますが、省農薬ミカン園では外見をキレイにすることを目的とした農薬は使用せず、ミカンの負担となる病虫害を減らすための散布に留めています。

 

実際の散布回数と使用農薬については、年度ごとの注文書ニュースレターにてご確認ください。

 

草刈り

 

雑草が勢いよく伸びるこの時期からみかんの白い花が咲く5月にかけて、園の内部や周縁部の草刈りをします。斜面で草刈り機を使うので慎重にやらなければなりません。また、木にからみついたツタなどは手作業で刈り取ることもあります。

 

除草剤は原則使用しない方針です。しかし農家ひとりでの除草作業は大変な労力ですので、やむを得ず使用する場合もあります。これまでも農家の高齢化や身体の不調を理由に散布したことがあります。



その頃、農薬ゼミメンバーは…「新歓」

 

5月中旬、山はミカンの花の甘い香りに包まれます。可憐なミカンの花を愛でつつ、新しいメンバーにミカン山と農薬ゼミの活動を紹介します。 もちろん除草など人手の要る農作業も手伝っています。


梅雨を経て、いよいよ暑い夏がやってきます。真夏の空の下でもミカンの世話は続きます。

 

摘果 - てきか

7月の始めから始まるこの作業は、実がなりすぎて木の負担になったり、実の品質が低下するのを防ぎ、また病気になったミカンを取り除くためのものです。ピンポン玉サイズのミカンをひとつひとつ丁寧に見ながら摘み取っていきます。この作業は収穫の1ヶ月前まで続きます。



その頃、農薬ゼミメンバーは…「夏調査」

 

カイガラムシなどの害虫、そうか病などの病気の被害がどの程度あるか、病害虫調査を行います。ミカンの木陰で休みつつ黙々と調査に励みます。どんな病気や害虫が発生しているのかはこちらにまとめています。


日が次第に短くなり、ふもとより一足早く肌寒くなってくる頃、ミカンは橙に色づいて山は華やかな景色になります。

 

秋施肥

 

収穫が始まる前の10-11月頃に、収穫後に効き目が現れるように肥料をやります。

 

収穫

 

いよいよ待ちに待った収穫!!!

 

 

と心躍るのも束の間、やってみると収穫はかなりの重労働、そして時間との戦いです。収穫作業は12月まで続き、箱詰めと出荷も同時に行います。収穫は下津だけで見られる「片手採り」という方法で行います。これは、ハサミを持った手でミカンも一緒につかむもので、背丈の高いミカンの木に対応したやり方です。



その頃、農薬ゼミメンバーは…「大忙し!」

 

10月から始まる販売作業、11月の秋調査、収穫のお手伝い、そして市内配達、大忙しの日々が続きます。ミカンをほおばりつつ、皆で協力し、勢いで乗り切ります。