省農薬ミカン園で発生する病害虫、雑草、動物をまとめています。写真はすべて現地で撮影したものです。
ヤノネカイガラムシ
(学名:Unaspis yanonensis、略称:ヤノネ)
写真で実についているのはメス、葉っぱの裏についているのはオス。調査対象は生きているメスのみ。1年に2~3世代で代替わりする。
ゴマを振りかけたような見た目から「ゴマミカン」と呼ばれ消費者から忌避(ゼミ生から歓迎)されるが、皮をむいてしまえば中身は同じ。
イセリアカイガラムシ
(学名:Icerya purchasi、別名:ワタフキカイガラムシ)
体の大部分がモコモコした毛で覆われている。
天敵はテントウムシ(べダリアテントウ)だが、アリに樹液を与えることで守ってもらう共生関係にある。
ルビーロウカイガラムシ
(学名:Ceroplastes rubens 、略称:ルビロウ)
写真のとおり背中が赤紫色のため、宝石のルビーにたとえて名づけられた。赤紫色のロウは粘土状になっているが、白色のロウは粉状になっており、ルビロウはそこにある気門から呼吸をしている。そのためマシン油で防除できない。
5月から7月にかけて孵化し、秋に成虫になる。分泌液からスス病が発生する。ほかのカイガラムシと同様に寄生バチが天敵。
カメノコロウムシ
(学名:Cerostegia japonica)
葉っぱの主脈や側脈に取りついていることもあるが、秋になり葉っぱの温度が低下すると枝に移動する。また取りついている部分が放射状に伸びていることもあるが、それは幼虫である。写真のようにカメの甲羅状になっているのはメスの成虫。
ひっくり返すと細い糸状の口針が確認できるが、それを突き刺して樹液を吸っている。
ミツバチ、寄生バチ(ヤノネキイロコバチ、ヤノネツヤコバチ、ルビーアカヤドリコバチ)
写真はミカン園のなかにあるミツバチの巣箱で、養蜂家の方が管理している。このおかげでミカンの花が受粉できるが、葉っぱで巣が隠れていることもあるので夏の作業中は刺されないよう要注意!
寄生バチはカイガラムシ類の天敵。体長は1mmほど。ヤノネカイガラムシのメスをよーく見てみると、体内で羽化した寄生バチが食い破った穴が見つかるかも。
寄生バチどうしは、寄生する場所・方法やカイガラムシの生育段階が違うので競合していない。
柑橘ソウカ病
(学名:Elsinoë fawcettii Bitancourt et Jenkins)
果実や葉に発生し、特に幼木で発病しやすい。果実ではイボイボ状の病斑、もしくはかさぶた状の病斑が発生する。葉では表面がデコボコになり光合成効率が下がる。
糸状菌の胞子が梅雨時期に拡散するので、防除はその前に行う。その際枯れ木・枯れ枝を可能な限り取り除くことも重要である。
なお実の写真では黒点病もやや発生している。
柑橘カイヨウ病
(学名:Xanthomonas campestris pv. citri)
葉や実に発生する。褐色で、日焼けしたようにも見える。
強風の日に枝がこすれて傷がついたり、ハモグリガが葉を食べ進むと、そこから細菌によって感染する。
ハモグリガ
ガの幼虫が葉っぱの内部を食い荒らしながら進み、その跡が白くうねって見える。実に発生することもある。
カイヨウ病を助長するのに加え、多発すると光合成の効率が落ちたり、枝ごと枯れることもある。
ゴマダラカミキリ
(学名:Anoplophora malasiaca)
ここ数年ミカン園で猛威をふるっている害虫。樹木の根元を食い荒らし、木全体を枯らしてしまう。穴の付近におがくずが大量に吐き出されているので発見できる。
写真ではピントがぼやけているが、背面に白い斑点があってよく目立つ。
卵で越冬し、夏に成虫が出没する。穴のなかにスプレーで液状の殺虫剤を注入したり、剪定バサミでちょん切ることで防除する。
ひよどり
園でさえずり声を聴くだけならいいが、収穫してみると意外と被害が発生していることが分かる。
クチバシで実をつついて汁を吸うが、これをされると出荷はできない。
アザミ
たかが雑草と侮るなかれ。園内で少しずつ範囲を拡大している。
春から夏にかけてミカンの木にからみつくツタを除草するが、そのとき軍手であたりの雑草を無造作にかき分けるとアザミのトゲがブスリと刺さる。
アナグマ
アナグマ、シカ、イノシシ、タヌキの食害がある。電気柵でミカン園を囲ってはいるが、地面を掘って侵入してくるので防ぎきれない。
ただしアナグマはきちんと皮をむいて残さず食べていく良心的な害獣。
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